偽パイロット詐欺事件法廷画
亀井裕貴被告人(2023年/静岡地裁沼津支部にて)
2023年1月25日に静岡地方裁判所沼津支部で行われた偽パイロット詐欺事件・亀井裕貴被告人(40)の裁判の法廷画を担当しました。
亀井被告人と被害者女性は元同級生で幼馴染。2016年の春にFacebookをきっかけに連絡を取り合うようになり、食事をする仲に。JALの副操縦士の名刺を渡して信用させ、自身は投資会社も経営しているなどと話していたといいます。
マルチ商法業者のアムウェイで上位クラスであるトリプルダイアモンドを取得しているという情報を信じた被害者女性は亀井被告人の勧める投資話に乗ってしまい、500万円を手始めに次々とだまし取られ、気づけば2000万円の被害額になってしまったとのこと。
その後音信不通となった亀井被告人をフジテレビの番組の協力を得て居場所を突き止めた被害者女性は弁護士立ち合いのもと話し合いを行い、「他に貸している債権を回収して必ず返す」と約束させたものの、再び音信不通になったそうです。
裁判で判明したことは、JALの副操縦士は嘘、投資会社も経営しておらず、マルチ商法で成功もしてないという事実でした。すべてが真っ赤な嘘という中、被告人の謝罪の言葉がむなしく法廷に響きました。
10代のころから必死に貯めたお金をだまし取られ、多額の借金を背負わされ、自責の念から自殺未遂にも及んだという被害者女性の悲痛な言葉も耳にしました。感情が感じられない声で「必ず返します」と語る亀井被告人。40歳で無職の男性がこれだけの金額を全額返済できるのは一体いつになることだろうかと気の遠くなる思いがしました。
元同級生ということもあり、心を許していた被害者女性の心痛を思うとやり切れません。亀井被告人の手口については詐欺や悪徳商法に詳しいジャーナリスト多田文明氏の記事に詳しいので紹介しておきます。こうした記事が同じような詐欺被害者を出さない一助になればと思います。
検察側の求刑は懲役3年でしたが、2月24日に懲役2年の実刑判決が下りました。出所後に嘘に嘘を重ねた過去の自分と決別し、心を入れ替えた被告人が被害者女性と誠実に向き合うことを願わずにはいられない事件の裁判でした。
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