ロマンス詐欺で覚醒剤取締法違反事件法廷画
ドナ・ネルソン被告人(2024年/千葉地裁にて)
2024年11月18日に放送されたオーストラリアの公共放送ABCのニュース用の法廷画を担当しました。被告人はパース在住のオーストラリア人女性、ドナ・ネルソン氏(58)。ネルソン被告人は2023年1月3日に国際便で成田空港に到着した際、覚醒剤1.9kgを密輸しようとした疑いで逮捕、拘留されました。
初公判で覚醒剤取締法違反と関税法違反の罪で裁かれるようになった被告人ですが、本人およびその家族はいわゆる「ロマンス詐欺」の被害にあい、知らないうちに運び屋に仕立て上げられたと主張しました。
被告人は日本訪問の数か月前からマッチングアプリを使ってケリーと名乗る男性と知り合い、恋愛して結婚する約束をしていたといいます。ケリーは日本に在住しアパレル会社のデザイナーをしている大金持ち(という設定)で、ラオスで新作の衣類が入ったスーツケースを預かって日本に持ってきてくれるように頼まれたとのことでした。
画像は被告人と4人の娘。心配そうに見つめる眼差しが印象的でした。成田空港で婚約者に騙されていたことを知ったネルソン被告人はその場に泣き崩れたといいます。
しかし判決公判ではそのような事情は加味されず、複数人と共謀して日本に覚醒剤をスーツケースに隠し密輸したとして懲役6年の実刑判決が下りました。
判決が下った時、被告人はマスクをしていましたが、マスク越しでもわかるほどショックを受けているのが伝わりました。ロマンス詐欺とはオンライン上のマッチングアプリなどで知り合った相手に恋愛感情を抱かせた上で巧みに操り、金銭などをだまし取るのが定石ですが、違法薬物の運び屋にさせられるケースも多数報告されているそうで社会問題になっています。
今回のドナ・ネルソン被告人は日本では無名ですが、アボリジニ―コミュニティのリーダーを務めていた人物であったことからオーストラリアでは大きく報道されました。
被告人のすすり泣く声が響く法廷で、悪質なロマンス詐欺を働く人物に強い憤りを覚えました。恋愛は人を盲目にさせるとよく言われますが、世にうまい話は存在しないと胸に刻んで気を付けていきたいものですね。
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